今回は近々リメイクされる「聖剣伝説3」の魅力について語りたい。
聖剣伝説3は1995年9月30日にスクウェアからスーパーファミコン向けに発売されたアクションゲームだ。
筆者は前作同様、この聖剣伝説3を狂うほどプレイした。
最も、大半はデュラン主人公でのプレイだったのであるが。
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マナの力を巡り、6人の主人公達と3大勢力が交じり合う
聖剣伝説3は前作聖剣伝説2と同じく、2D見下ろし視点のRPGアクションゲームだ。
王国の傭兵であったり、魔法王国の王女や、ビーストキングダムの王子、盗賊団……様々な生い立ちをもつ個性的な主人公達6人から、ゲーム開始時に1人の主人公と2人の仲間、計3人を選択することで始まる。
いずれのキャラクターも敵となる3大勢力のいずれかによって国や親友を失うこととなり、それを解決するためマナの樹の使いであるフェアリーに導かれ、マナの剣を求める旅へと旅立つことになる。
どのキャラクターを選んでも大筋は同じであるが、物語のスタート地点や、仲間が加わるタイミング、物語に纏わるサブイベント、ラスボスとなる勢力など、道中のストーリーが大きく変化していく。
選んだ主人公やメンバーによって、物語に対する視点が異なるため、同じ場面であっても見え方が全く異なる。
また、敵対勢力や、主人公たちの所属する各勢力もそれぞれが別々の思惑で動いているため、主人公たちの目線だけでなく、それぞれの勢力の視点で、運命がどう交叉するのかを見るのも面白い。
さらに、特定のメンバー同士での専用セリフも多く用意されているため、まさに何度でも様々な組み合わせでクリアしたくなるゲームとなっている。
深みを増したグラフィックと人を描いたストーリー
前作と比べると、同じスーファミ機であるが明らかにグラフィックスが進化している。
人物はよりきめ細かく、様々な地形や風景をより美しく、素晴らしいドット絵で描かれるグラフィックスは、スーファミゲームでも最高レベルと言えるだろう。
さすがのちにスクエアから離れても、2Dゲームを作ろうとした聖剣チームの誇る作品である。
この華麗で独特な世界観のグラフィックスは後に「マジカルバケーション」や「聖剣伝説 LEGEND OF MANA」でも生かされている。
世界観も各精霊達がより個性的になり、ワッツなどのお馴染みのキャラクターに加え、数多くの個性的なキャラクター達が主人公達に絡むようになった。
聖剣伝説2が圧倒的な世界観と音楽でストーリーを演出する作品ならば、聖剣伝説3は登場人物の生きざまに焦点を当て、人の運命をより線密に描いた作品と言える。
明らかにパワーアップした今作は、続編として相応しい作品だ。
超目玉システム! クラスチェンジ……できない!
本作の目玉システムとして「クラスチェンジ」がある。
マナストーンと呼ばれる神獣を封印した石に触れることで、能力を飛躍的に上昇させるクラスチェンジを行うことができるようになるのだ。
一部のキャラクターではこのクラスチェンジが旅の目的の一つにもなり、マナストーンは旅の目的である「精霊」達の近くに安置されている。
マナストーンはゲームのパッケージにも中心にでかでかと描かれており、ゲーム内でも異様な雰囲気を放つ。
苦労してボスを倒し、精霊の力を手に入れ、いざマナストーンと対面。
いよいよクラスチェンジの刻、マナストーンに触れ祈る……そして、何も起こらない。
そう、クラスチェンジするには一定のレベルが必要なのだ。
少なくとも道中の敵を普通に倒すだけでは、まず最初のマナストーンでクラスチェンジはできない。
普通にクリアしていくと、恐らく後半に差し関わる一歩手前、中盤の火や水のマナストーン辺りで1回目が訪れるはずだ。
それ以前でクラスチェンジするには相当なレベル上げが必要となる。
そして、2回のクラスチェンジで最終クラスになるのだが、これまた非常に時間がかかる。
普通にやっていると、下手したら2回目のクラスチェンジ無しでクリアもありうる。
ちょっと多めに倒していれば、残りボス2体ぐらいに差しかかる付近でクラスチェンジができるだろう。
正直もう少し条件は緩くても良かったと思う。
何度もクリアしたが、2回目のクラスチェンジはなれる時期が短すぎて影が非常に薄い。
折角の目玉システムであるし、マナの強大な力を得たというワクワク感があるので、リメイク作では1つ目のマナストーンでクラスチェンジできるぐらいにしてほしい。
後世に伝わる大人気キャラクター「リース」登場
聖剣伝説3はキャラクター人気が非常に高い。
主にリースが9割だが。
聖剣伝説2のキャラクターがいまいち影が薄かったことを踏まえると、聖剣伝説3のキャラ人気は異常と言っても良い。
主にリースに限るのだが。
そんな異常な人気を誇るリースは6人の主人公の1人で、16歳の美少女であり、風の王国ローラント王女にして、国が誇るアマゾネス軍のリーダーである。
アマゾネスという名前からは予想もつかぬほど可憐な見た目をしており、発売当初の1990年代における「かわいい」の記号を全て集めたような見た目をしている。
長髪のブロンドヘアー、緑色の守れていないドレスなのか良く分からないアーマー、翼の耳飾り、鎧なのにふりふりレースで露出された足などなど、人間であるが、当時人気の高かったエルフ像に近い見た目をしている。
16歳の王女であり気品がありながらも、弟が大好きで、恋愛に初心であり、年相応の少女らしさもある。
そして極めつけは、幼い頃に母親を亡くしており、物語冒頭で故郷である国を滅ぼされ、父親も殺されてしまうという悲劇性である。
まさに属性もりもり状態であり、ゲームそのものより人気だったと言っても過言ではない状態だった。
もっとも、筆者はプレイ時まだ子供であり、全く魅力を理解していなかったのでリースの使用回数は少なかった。
当時は剣大好きっ子だったので、ひたすらデュランプレイだったのだ。
当時から、ネットでリースだけやたらイラストを見かけるなと思っていたのだが、ここまでの人気が続くほどだとは思ってもいなかった。
マナの剣を装備できない聖剣の始まり。開発チームの挑戦
伝説の剣などが大好物な筆者にとってこれが一番辛かった。
苦労して手に入れた剣を一度も振るうことなく奪われ、一度も使えないなんてあんまりである。
しかも、奪われた原因である当の本人は、絶望する主人公達に向かって「希望という名の心こそがマナの剣」などと言ってくるのである。
正直プレイ当時は感動したが冷静に考えるとひどいと思う。
それはさておき、本作からマナの剣はキーアイテムとしての登場が多くなり、装備できる作品が減っていくことになる。
例えば、次作にあたる「聖剣伝説 LEGEND OF MANA」では、最終ステージを登場させるアイテムになってしまっている。
思えば、本作から聖剣伝説は挑戦的な作品になってきているように感じる。
聖剣伝説シリーズをてがけた石井浩一さんは、元々聖剣伝説を作成したきっかけが坂口氏に「もうFFを作成したくない」と言ったことがきっかけであるし、他の聖剣伝説作成メンバーは株式会社ブラウニーブラウンを設立して独立し、その後「マジカルバケーション」や「MOTHER3」など特徴的なゲームを作成している。
そういった挑戦的な創作意欲を持つ人達が集まったからこそ、これらの名作は生まれたのだろう。
まとめ:洗練されたシステムと世界観により中毒性を引き起こされるアクションRPG
基本的なシステムは前作と同じであるが、ゲーム性は後に発売される「聖剣伝説 LEGEND OF MANA」に近くなっている。
例えば、戦闘は必殺技を貯めるシステムを排除し、武器による高低差を統一化したり、無駄をそぎ落としている。
単に簡略化された訳ではなく、必殺技はクラスに付随されるためクラスのチェンジ先を考えたり、武器種の固定化で各キャラクターごとの個性を強くしたりなど、ゲーム性も飽きないようにより工夫し、洗練したものに変化しているのだ。
アクションRPGとして洗練され、選んだキャラクターに応じて変化するストーリーやゲーム性によって、プレイヤーは何度でも何度でも、聖剣伝説3をプレイするようになってしまうのである。
後にも先にもこれほど周回したくなるアクションRPGは珍しい。
幾度となく時を経ても、またプレイしたくなる。それが聖剣伝説3なのだ。