ラブデリック『UFO -A day in the life-』レビュー。ウチュウ人はチキューで何を見る? ゲームの先をプレイヤーと共に【感想・評価】

今回は『UFO -A day in the life-』という、可愛らしい宇宙人と、奇妙な地球人達が織り成す人生のゲームをご紹介したい。

「UFO -A day in the life-」(以下UFO)はラブデリックが開発し、アスキーから1998年に発売されたゲームだ。

同社の「moon」が2019年10月10日にswitchに完全移植され話題となったが、本作「UFO」もmoonに負けず劣らずのラブデリック節全開の名作となっており、マニアックなゲーム好きにも満足できるものとなっている。

アパートを舞台に繰り広げられるアハ体験系間違い探し

本作の主な目的は、旅行中の事故で、宇宙船から放り出されて地球のアパートに散らばってしまった宇宙人たちを救出することだ。

ゲーム内では宇宙人を「ウチュウ人」、地球を「チキュー」、アパートを「横穴式住居」などと表記するのであるが、そこもまたラブデリックという感じがする。

ウチュウ人達は基本的に地球の電磁波とフロンガスの影響で透明化しており、プレイヤーからは一切目視することができないが、写真には写る。

そこで、主人公のタコ型ウチュウ人を操り、自身もまた透明化してアパートに侵入する。そして写真に乗客ウチュウ人を収めることで、彼らが居る証拠「ばっちシーン」を集めるのだ。

彼らは目視できないがそこに存在しているので、よくよく観察していると何もしていないのに花瓶が倒れたりする。そこを写真で撮るという訳だ。

はっきり言ってかなり難しく、ノーヒントに等しいものも多く存在するので筆者は何度も投げた経験がある。実際ヒント無しの通しでクリアできた人は居るのだろうか? そんな疑問が浮かんでしまう程度には難しいのである。

愛すべきチキュー人とウチュウ人の織り成すドラマの行方

本作のゲーム性としてはアハ体験間違い探しなのであるが、途中からその本質は変容していくことになる。

その本質とは、観察者として彼らの運命を観察することだ。

アパートの各部屋や廊下(ROKA)では住人たちが様々な物語を送っている。

かっこいい倒れ方を練習しているナルシストな男。何気ない日常を送るOLやサラリーマン。仲の悪い親子。怪しいハッカー。ヤクザと黒服のバイオレンスな日常。正義を愛するマッチョの不穏な動き。次第に日常から非日常にシフトしていく彼らの生活。

プレイヤーはそんな彼ら住人達を覗き、観察し、普通でありながらどこか奇妙な日常に潜むウチュウ人達を見つけていく。

そんな彼らの生活を、プレイヤーは時を遡りながら場面場面を切り取って見ていくこととなるのである。

そしてウチュウ人を救出すると、ウチュウ人によって発生した影響は無かったこととなるのだ。

例えば、ハチのウチュウ人が寝ている住人の鼻ちょうちんを割って起こしてしまうが、このウチュウ人を救出すると、その時間帯で住人が目覚めなくなる。

そうすることで物語は新たな展開に発展し、別の場所や別の時間帯を探索することができるようになるのである。

ウチュウ人達が及ぼす影響は本当に些細なもので、一瞬電気が消えたり住人が転んだり、たったそれだけなのだが、それを回収するだけで物語は大きく変わっていく。

最初は1人や1世帯の小さな物語が進んでいき、それらは個別で完結していく。ただあるとき、彼ら住人達は少しずつお互いに影響を及ぼして生きていることに気づくのだ。

プレイヤーはただ、彼ら住人達の生活に影響を与えないように、元の運命へと戻していくだけだ。

そして物語終盤、住人達の運命は巨大な1つの事件に終息していくことが分かる。

最初からずっと無表情に住人達を観察し、自分に与えられた任務をこなすだけだった主人公は一体何を想ったのだろう。

プレイヤーもまた、住人達はウチュウ人を探すためのただの舞台装置であると認識し、なかなか見つからないウチュウ人に苛立ちを覚えていたことだろう。

しかし、長い時間の旅路の中で、そこに確かに人が存在し、命があり、彼らはその日を一生懸命に生きていることが胸に刻まれたはずだ。

ゲームの目的を達成するためにノルマをこなしたプレイヤーは何を想うのか。

最後の選択をするとき、主人公とプレイヤーの心はきっと同じものであったはずだ。

プレイヤーはそこにラブデリックらしさを見る

本作は結構しっかりとしたゲームとしての目的とルールがあり、メリハリのあるゲーム性だ。

これは「moon」を初めとした、アドベンチャーゲームが多いラブデリック製のゲームには珍しいと言える。

だが、ウチュウ人やチキュー人、宇宙船「ダイマ・オー号」と言ったネーミングセンス、粘土のようなジオラマグラフィックに独特なボイス、奇妙なキャラクター達、所々で感じる音楽へのこだわり、理不尽とも言える高難易度な謎解きなどなど、ラブデリックらしさの塊だ。

そして何より、プレイヤーと主人公がゲームの体験を通し、共にゲームの先にあるものを見る。これは間違いなくラブデリックのゲームなのだ。

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