昔、わいわいさんのゲーム実況でチラリと見て興味をもったが、日本語に対応していなかったゲーム。それがなんの因果かセガさんからレビュー依頼が舞い降りてきたので受けるしかあるまいと引き受けることにした。
という訳で今回は『ツーポイントホスピタル:ジャンボエディション』をレビューしていく。
本作はイギリスのTwo Point Studios社が開発し、セガより発売している「Two Point Hospital」の日本語版およびDLC同梱版だ。同社はセガのフランチャイズ計画最初のパートナーに選ばれており、開発者は過去にも病院シミュレーションゲームの開発経験がある。本作はその「Theme Hospital」の精神的後継作である。
対応機種:PlayStation 4、Nintendo Switch
Contents
基本はステージクリア型シミュレーションゲーム
プレイヤーは自分の財団を管理し、ツーポイント州でさまざまな地区の病院を経営していく。そして奇妙キテレツな症状をもつ患者を治療していくことが目的となる。
基本的な流れはステージ選択→診察→必要な施設を作成→治療を繰り返し、ステージ毎の目標を達成していくという流れとなる。
チュートリアルで基本的な操作を教わり、ステージを進めるごとに新しい要素が解禁されていくので、シミュレーションゲームを初めて触るという人にもおすすめだ。
ステージクリア型であるが自由度はそれなりに高く「〇〇という病気を治す」「魅力度を上げる」といった目標を達成さえすれば何をしてもよく、目標を達成後も自由に好きなだけ遊ぶことができるし、ステージの行き来も自由だ。
しかも、ステージを先に進めて解禁した要素は前のステージで使うことができるので、いったん目標を半分だけやっておき、先に進んでから後で戻って無双ということもできる。
また、完全に自由に作成できるサンドボックスモードも搭載されているが、あくまで本編は各ステージの攻略がメインとなるだろう。
ちなみに1ステージのクリアに数時間は平気でかかる。クリアしても納得がいかないところを修正したり理想の病院を作ろうと奮起してしまい、ついつい無限にプレイしてしまう。実際筆者も序盤のステージで無駄にやり込み、次のステージに行くのを忘れて没頭してしまった。
硬派でやりごたえのあるゲーム内容
Youtubeやメディアでは奇抜なゲームとしての面が目立つ。だがその実ゲーム内容は硬派なもので構成されている。
実際プレイしてみるとかなり忙しい。とにかくやることが多く、最初のうちは目標を達成するためのプレイでいっぱいいっぱいだろう。
奇妙キテレツな症状を見たり、おもしろおかしい独創的な病院を作ろうと本作を始めると、その本格的な項目の多さに驚かされるはずだ。
たとえば病院のパラメータとしては財務状況・スタッフ・患者の病院に対する印象など事細かに設定されており、あらゆる要素を管理しながらこれらが上向きになるように調整していく。
さらに病気ごとの値段やスタッフの給料、部屋・スタッフ単位での担当振り分けなど細かい調整も可能となっており、しかも本作ではスタッフごとにスキルを習得させることもできるので、理想の最強スタッフを育成していく要素もある。シミュレーションゲームとして基本的なものは大方揃っていると言えるだろう。
その反面、目標を達成するのにそこまで細かい調整は必要ない。シミュレーション系でよくある悪い状況を立て直せずゲームオーバーを繰り返すといったことはなく、行き当たりばったりでも改善を繰り返せばクリアに支障はない。
もちろん細かく調整したほうが効率がいいし、仕事を丁寧に振り分けることで「自分だけの最強の病院」を作成することも可能だ。
悪く言えばごり押しが可能で作業になりがちなポイントではあるが、シミュレーションゲーム初心者でも挫折することなくプレイが可能ということでもある。
奇抜で奇妙なユーモアあふれる院内
ゲーム内に登場する病気はどれもこれも非常にユーモラスがあり面白い。
例えば「ピエロ・コンプレックス」は常にユーモアを求めピエロのような動きをしてしまう。そこでユーモア除去装置を使い患者の体内からユーモアを取り除くのだ。
他にも「白熱頭症」は頭が白熱灯になってしまうので、元の頭を3Dプリンタで作成し、白熱灯となった頭を取り外して交換してしまうという荒療治を行う。
こういった患者は見た目や治療だけでなく、行動にもその特殊性が現れる。たとえば「パント舞夢症」なら院内をパントマイムしながらうろついていたりする。
このような病気がなんと180種も登場するので、新しい症状が解禁されるたびに観察するだけでも面白い。
やりこみ要素
この手のゲームはYoutubeなどで非常に人気がある。もちろん『ツーポイントホスピタル』も例外ではない。その理由が自由度の高いやりこみ要素の存在である。
基本的に部屋の形などは自由に作成できる。ステージ毎に病院自体の形は決まっているが、各病院の敷地はとても大きい。それをどう活かすかはプレイヤーの自由だ。
部屋の形や配置は見た目だけのものではなく、移動のしやすさは患者やスタッフの移動効率に直結する。コンビニやスーパーのように患者やスタッフが効率よく移動できる配置を追求するも良し、そんなことは知るかと迷路やテーマパークのような病院を作るも良し、すべてはプレイヤーの感性次第となっている。
また本作には配置できる設備やアイテムが450種以上登場する。無論、すべてを使う必要はなく、効果はだいたい被っていたりする。そういう意味でもシミュレーションゲームとしては深堀された内容ではないが、反面自由に作成できるということでもある。
DLCも最初から同梱されているので宇宙人編など特殊なものも楽しめる。偏見だが海外ゲームはUFOや宇宙人がやたら登場する気がする。
ツーポイントホスピタル初心者向け攻略
本作はチュートリアルや随時表示される説明だけでも何となくはプレイできるのですが、正直なところ詳しいマニュアルが欲しいと感じました。
なので筆者がプレイしたなかで、とりあえずこれだけは覚えておくと楽になるといったものをメモしておきます。ゲームプレイに詰まったらぜひ利用してみてください。
治療までの流れ
以下が患者の基本的な通院プロセスになります。
受付→総合診察室→(他の部屋で診断→総合診察室→診断確度が溜まり診断確定までループ)→治療室
ゆえに最初は受付→総合診察室→治療室で部屋を作っていくことになります。
診察室に行列ができる場合の対処方
治療はまず総合診察室で「診断確度」というゲージを上げていき基準値を満たしたら各治療室に行くという流れになります。 「診断確度」 が高ければ高いほど治療の成功率が上がります。
そしてこの「診断確度」の基準値は設定で変更することができ、それにより診察速度を上げることが可能です。
「左下の概要」→「方針」タブを選択。ここで「治療の診断基準値」→診断確度をいくつまで上げるか設定できます。これが高いほど治療成功率が上がりますが、高すぎると診察室の行列に繋がるので行列ができるようであれば60%程度まで下げてみましょう。
またその下の「早期治療」にチェックを入れると病気の種類を特定次第、 診断確度が低くても総合診察室に戻ることなく治療開始になるので、これも行列解消に使えます。
余裕が出てきたら設定を元に戻すといいでしょう。
スタッフの仕事管理
左下メニュー→スタッフ→タブ切り替えで「仕事」を選択。ここでスタッフごとに担当できる仕事を絞ることができます。精神科医などそのスキルがないと治療できないスキルを持っている場合、そのスタッフには精神科のみを担当させるようにしておくなどの使い方が便利です。
優先すべきスタッフのスキル
「ゴーストバスター」など、固有の仕事ができるようになるスキルを最優先で取得すると楽になります。他の効率アップ系はスタッフの人数に余裕が出てきたらでOK。
たとえば「精神科医」「ゴーストバスター」「メンテナンス」「医療機器のレベルアップ」などが優先的にほしいスキルです。
部屋のレベル
最初は総合診察室を優先して上げます。次点で「〇〇〇をLv4にする」等のクエストや、行列ができる部屋が出てきた場合に上げていく程度でいいでしょう。
上げ方は、まず部屋を選択→「アイテム」メニュー→ポスターやソニック系のアイテムをできるだけ敷き詰める。画面右上のクエストがそのまま目標までのゲージとなっているので、アイテムを置きながら変動を確かめましょう。
部屋の魅力度を上げた場合「コピー」や「テンプレート」を利用して部屋ごとコピペすると同じ部屋を複数作るときに楽になります。
マップの見下ろし視点
最大まで解像度を上げると見下ろし視点になります。選択すれば部屋の詳細が分かるので、アイコンと部屋名をセットで覚えるとクエスト処理などが楽になります。
また、行列ができた場合はこの視点で一目で確認できるので、余裕があるときは確認するといいでしょう。
研究
研究の進捗は全ステージで共有です。
よって研究が解放されたらそのステージでできるだけ解放しておくと後で楽になります。
総評
奇抜に見えてゲーム内容は意外に硬派で真面目なシミュレーションゲーム。
説明不足感はあるものの、それでもシミュレーション系初心者にはやりやすく、分かってくるといくらでもやりこめるため幅広くおすすめできる。逆にガチガチのシミュレーションゲームがやりたい場合には物足りないかもしれないが、本作のユーモア溢れる内容には見ごたえがあり、時間を忘れて没頭できる内容となっている。
Youtubeなどでその存在を知って興味をもったり、シミュレーションゲームをやってみたい方、コツコツとやり込みプレイをしてみたい方はぜひ手に取ってみて欲しい。