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『スーパーメトロイド』レビュー。原点はミニマムに。恐怖は音楽を通じて【評価・感想】

2021年8月5日

スーパーメトロイドタイトル画面

実は未プレイだったスーパーメトロイド、フォロワーさんがTwitterで楽しそうにプレイしているのを切っ掛けに触れてみることに。

今回はそんな任天堂より1994年3月19日にSFCで発売されたスーパーメトロイドについてレビューしていく。

探索の面白さが凝縮された「メトロイド」

スーパーメトロイドのマップ画面

「メトロイドヴァニア」という言葉を聞いたことはあるだろうか。2Dダンジョンを縦横無尽に探索し、好きなルートでボスを倒してアイテムを取得していくことで新たな道が開けていくゲームジャンルを指す言葉だ。

本作はそんな「メトロイドヴァニア」の「メトロイド」部分を産み出したゲームである。

ちなみに「ヴァニア」は「悪魔城ドラキュラ」の英題「キャッスルヴァニア」から来ており、中でも「月下の夜想曲」のレベルやステータスと言ったRPG要素を指すことが多い。

さて、本作『スーパーメトロイド』はそんな2D探索型ゲームの基礎たる存在だけあって、その要素がとても楽しめるようになっている。

初めに作られたから基礎になったのではない。後のゲーム業界に多大な影響を与えるほど衝撃的に面白かったから基礎になったのだ。

スーパーメトロイドのグラップリングビーム
グラップリングビームは操作がやや難しいが楽しい

マップがとにかくミニマムだ。凝縮されている。無駄がないと言って良いだろう。それでいて無駄な遊び心に溢れすぎているほどに溢れている。行けるところ見えるところそのすべてが遊び場なのだ。

ミニマムと表した通り、マップはそれほど広くはない。それはサムスがスーツを脱ぐ隠しEDの条件が3時間以内のクリアということからも分かるだろう。ちなみに筆者のクリア時間は完全初見で6時間42分だった。

スーパーメトロイドのクリア画面

だが、ミニマム=物足りないという訳ではない。むしろ物足りすぎている。

新装備は次から次へと出てくるし、マップは少し進めばすぐにその様相を大きく変える。そしてその先には10体以上にも渡るボスとの死闘が待ち受けている。

装備に関しては本当にすぐに次のものを獲得できるため、序盤でネタが尽きてしまうのではないかと心配になってしまったほどだ。だがそれは杞憂に終わり、最後まで新しい装備を手に入れ行動範囲が広がる喜びを噛みしめることができた。

あえて欠点を挙げるならば、凝縮されすぎて新装備による無双時間が短すぎることだろうか。

それは恐怖。音楽が奏で導く惑星ゼーベスの道

スーパーメトロイドのオープニング
テキストで語られる唯一の場面がOPである

「メトロイド」シリーズは任天堂では珍しい恐怖を前面に押し出した作品だ。

もちろん、他の任天堂作品に恐怖を演出するものがなかったといえばそうではなく、むしろ任天堂は恐怖的な演出を積極的に盛り込むほうだろう。

だが本作はもっと直接的にSFホラーだ。未知なる惑星にただ独り降り立ち、グロテスクな造形を持つ異星人と戦っていく。それはさながら映画「エイリアン」を彷彿とさせる。

スーパーメトロイドの惑星ゼーベス

ところで本作品のディレクターを務める坂本賀勇氏は公式ハンドブック内でゲームの空気を伝えるのはサウンドであると語っている。

本作『スーパーメトロイド』でもゲーム内におけるテキストは最小限に抑えられており、ステージごとに事細かに変わるそれはサムスの感じているその場の空気をプレイヤーに想像させ、ボス毎に演出が異なるBGMはそのボスの性質を体現している。

スーパーメトロイドのファントゥーン

これらはホラーテイストのテキストアドベンチャー「ファミコン探偵倶楽部」の原作を務める坂本氏ゆえのテクニックとホラー演出と言えるだろう。

ボスが現れる前の不穏なBGMは脳が危険信号を全身に送り出す。おどろおどろしい恐怖とはまた違う。命を守らなければならない緊張感があるそんな恐ろしさだ。

簡単に見せかけた高難易度と溢れ出る探索要素

本作ははっきりいって難しい。

が、難しいがクリアは難しくはないという非常に絶妙なゲームデザインになっている。

まず、ライフやアイテムの補給が容易く雑魚戦では実質無限である。

雑魚敵を倒すと減っているライフや弾が高確率でドロップし、マップを切り替えれば雑魚は復活するためいくらでも補給可能となっている。雑魚的にやられてゲームオーバーということは早々ないだろう。

スーパーメトロイド

また、ライフやアイテムの上限値もガンガン上がる。そのためのアイテムがそこらじゅうに歩けば当たるレベルで隠されている。新しいマップにきたら天井・壁・床を警戒すれば半数近くの隠しアイテムを回収できるだろう。

隠し部屋の先にさらに隠し部屋があるなんてこともザラにあるので気が抜けない。中盤からそういった隠されたものを発見することができる装備が手に入るため、100%クリアを目指す人にも優しい作りになっているが、それでも尚多い。

近年のゲームで言うなれば「スーパーマリオ オデッセイ」のような密度だ。

では、何が難しいのか?

スーパーメトロイドのクロコマイヤー

敵のダメージもめちゃくちゃインフレする。

新アーマーでダメージが半減すれば相手のダメージも2倍になる。すぐ死ぬとまではいかないが、とにかく驚くほど減る。

雑魚はすぐ倒せるのであまり問題無いが、ボスは別である。

また、基本的に自分のもつ弾数制限のあるアイテムをすべてぶつけて倒すのが主流であるため総力戦となる。

ゆえに攻略法が掴めず無駄遣いしたり、ガンガン被弾してしまうとあっという間にゲームオーバーである。

逆に攻略法が分かっていればラスボスであってもそれほど難しくはない。

これは任天堂ゲームでよく見られるバランスでよくできている。

また、ボス以外にも道中のダメージ床系トラップが非常に強い。ボスより強い。

即死でないため温情であるしごり押しは可能であるが、目を疑うほど減るうえに微妙に難しいので油断しているとゲームオーバー一直線だ。

難易度調整にあたり、スタッフの家族にプレイさせて調整したという話であるが、そのご家族は隠れゲーマーだったのかもしれない。

総評

メトロイドヴァニアの1つの原点、原点となっただけある凝縮された面白さだった。

ほんの数時間あればクリアできる難易度であるし、本作は「Nintendo Switch Online」に加入していれば無料でプレイできる。

ぜひともその原点たる面白さに触れてみて欲しい。

尚、説明書はないのでニンテンドークラシックミニのHPにあるものを参照するとよい。「スーパーメトロイド説明書

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