Nintendo Switch辺りで何か気軽にできるゲームがやりたいと思っていたところ、セガさんから提供していただけることになったので、作業や他のゲームの合間にコツコツ遊んでいました。
という訳で『たべごろ!スーパーモンキーボール 1&2リメイク』をレビューしていきます。
対応機種 : PC、PlayStation 4、PlayStation 5、Nintendo Switch
圧倒的ボリュームを誇るシンプル操作の傑作
『スーパーモンキーボール』シリーズの目的と操作は非常にシンプル「スティックでおサルが入ったボールを転がしてゴールに入れる」だけ!
しかも、1ステージ1分程度しかなく、リトライも即可能なので、驚くほどサクサク遊べます。
個人的に驚いたのはそのボリュームで、ステージ数がなんと300以上も登場します。
それもそのはず、2001年にゲームキューブで発売された「スーパーモンキーボール」とその続編「スーパーモンキーボール2」に加え、PS2・ XBoxで発売された「スーパーモンキーボールデラックス」の全ステージを収録しているのですから。
さらに驚くことに、本作は移植ではなくリメイク、つまりステージからキャラクターまで当時のものを再現しつつもグラフィックや内部システムからあらゆるものを作り直して制作されているのです。
グラフィックはもちろん、細かい演出、バナナの配置やステージ名などなど、本当に細かいところまで改修された正真正銘のリメイク作品となっています。
作り直しつつも、当時のとんでもショートカットなどもできるように忠実に再現されているところなど、製作者の愛が感じられますね。
ちなみに、難易度が高すぎたものなど、数多くのステージが調整されているのですが、未調整のステージを遊ぶことができるモードもあって至れり尽くせりです。
また、今回用に新たに作られたスペシャルモードがあり、ステージの反転や特殊なバナナが登場するステージなどで遊べるので、まさに際限なく遊ぶことができます。
シンプルな操作性でありながらステージはとても個性的。当時から綺麗と言われていた背景はリメイクで輝きを取り戻し、BGMは神秘的なものからノリノリなものまで、中には龍が如くシリーズの庄司英徳氏が作曲を手掛けるものも多くあり非常にクオリティが高くなっています。
私はシンプルなゲームだと塊魂が好きなのですが、あれもゲームのテンポ・背景の豊かさ・BGMの美しさが揃ったプレイが気持ちいいゲームでした。
また、スーパーモンキーボールはパーティゲームの豊富さも有名です。
残念ながらオンライン対戦には対応していませんが、NPC相手に1人でプレイしても楽しいですし、コントローラーを持ち寄って4人でできるゲームも多くあるのが良いですね。
実際、ミニゲームは当時のTVCMでも目玉として紹介されていました。
ミニゲームとは思えない作り込み……!
モンキーボールを上手くいかしたものからモンキーボール要素が皆無なものまでどれもクオリティが高いです。
このへんは、開発スタッフに龍が如くシリーズの名越稔洋プロデューサーが居るからかもしれません。あるいはその逆。龍が如くでスーパーモンキーボールを見たことがあるという人も多いかもしれませんね。
個人的にゲーム内ミニゲームがとても好きで、1つのゲームを買ったのに複数のゲームが遊べるお得感や、そのゲームの世界でゲームをすることで、よりその世界を感じるある種のメタバースのような感覚を得られるのが楽しいのです。
また本作には大量のミッションがあり、これらをコンプリートするのも1つの目的になると思います。見ての通り全747ものミッションは本編のボリュームと相まって、圧倒的な満足感を与えてくれます。
伝説の超高難易度ゲーム再び
「スーパーモンキーボール」は、ゲームキューブ唯一のサードパーティ製ローンチソフトとして発売されました。CMには草刈正雄さんが出演しており、プレイしたことがない人でも印象に残っている人は多いと思います。
当時人気だったサルゲッチュやパラッパラッパーのような可愛いゲームを連想していた人も多かったんじゃないでしょうか。
しかし、そこに待ち受けていたのは鬼畜とも言える超難易度ゲームだったのです。
1プレイ60秒程度、リトライ回数無制限、しかし簡単にはクリアさせない驚きのギミックに溢れた何百ものステージ群……。
本作は元々アーケードゲームからスタートしたゲームです。ゆえに、ある意味でゲームオーバーするのが前提で作られているのです。
もちろん、前半ステージや低難易度モードなどクリアだけなら難しくなく、簡単なものも多くあります。しかもお助け機能が豊富で、アシストだけでなくポイントを支払ってクリアしたことにして次に進むことも可能です。
しかし、例えばバナナをコンプリートしようなどと考えたとき、その凄まじい難易度に驚愕することになります。なんせ1ステージ目からめちゃくちゃ難しいからです。
私は60秒という時間制限とステージいっぱいに広がるバナナの配置を見てすべてを悟りました。バナナはリメイク前よりかなり多くなっているので、当時のスーパーモンキーボールをクリアした猛者への挑戦状なのかもしれません。
本作は最速クリアを目指す競技イベント「RTA in Japan」でも走られました。動画は2019年開催時の走者ゆとりんさんのプレイになります。
そしてこの動画、なんと発売前に公式から出ています。
完全クリアに十何年かけた人も居るスーパーモンキーボールの神業プレイ動画は圧巻の一言ですね。
動画を見ても分かる通り、スーパーモンキーボールはクリアまでの道筋が1つではなくプレイヤーの数だけ存在します。そして、ステージは動画のものでも半分にも満たしません。本作ではオンラインで世界ランキングも見ることができるので、ぜひ自分だけの道を探してみてください。
RTA走者は絶賛募集中のようですよ!
手軽にいつでも何度でも
難しさを強調しましたが、やはり「スーパーモンキーボール」の魅力は誰でもさくっとプレイできる手軽さだと思います。難易度は奥の深さであり、1プレイが短くさくさくできるからこそ、気が向いたときにいつでもスーパーモンキーボールの世界に戻ってくることができるのです。
最近流行のフォトモードもありますし、キャラクターの解禁や見た目のカスタマイズ要素もあるのでカジュアルな楽しさもあります。
山寺孝一さんらのユニット「バナナフリッターズ」が歌うテーマソングもあります。
なんだかあの頃のマクドナルドとゲームがタイアップしていたり賑やかで輝いていたゲーム体験が戻ってきたような感覚になりませんか?
まとめ:カジュアルに凝縮されたゲーム体験
シンプルゆえにいろんな遊び方ができるゲームだと思います。
空き時間にこつこつ進めたり、何時間ものめり込んでステージの解答を探したり、全ミッションクリアすることを目標としたり、華麗にクリアできるように目指したり、あえてパーティゲームを極めたり、人の数だけ遊び方があります。
それを成立させているのが大ボリュームの内容であり、考え抜かれたギミックからなる超難易度の奥の深さであるわけです。
値段もお手頃なので、今もなお長く愛され続けているゲームを体験してみるのもいいと思います。