『BLUE PROTOCOL』クローズドβレビュー。全てが80点。完成度が高いがゆえに見えるMMOの厳しさ【評価・感想】【ブルプロCBT】

2020年5月3日

ブループロトコルCBTのOP画面

こんにちは。それなりにMMO廃人だったマスティ(@masty_cafe)です。

前々から気になっていた『ブループロトコル』のクローズドβテストにめでたく当選したので今回はその感想を書き綴っていくことにします。

久しぶりのPC向け国産MMOということで応援したいのですが、MMOは生き残るのがとても大変なジャンルです。私もそれなりに色々なMMOをやってきた身なので、全体的に少々厳しめです。

また、前回のテストには参加していないのでこれが初参加となり、前回からの比較はしない素直な感想となります。

『BLUE PROTOCOL』公式

アニメ調ファンタジーMMOの世界を自由に駆け回れる喜び

ブループロトコルの街並み
アニメ調グラフィックスで描かれる美しい町並み

本作はMMOなのか?

私が本作をプレイするにあたって一番気になっていた点です。

その世界に降り立って確信しました。間違いなく『ブループロトコル』はMMOです。

MMOでは最大クラスを誇る巨大な都市に生きているプレイヤーが歩き、座り、話し、踊り、冒険をしているのです。

ブループロトコルの街中で生きるプレイヤー
プレイヤーが同じ世界に生きている

MMO好きとしてはこれだけで嬉しくなりますね。

後述しますが、PCMMOはもはや下火で、MMOでは当たり前のはずの同じフィールドに他のプレイヤーが居るという体験ですら珍しいものになっているのです。

そして本作はアニメーショングラフィックスが採用されています。

これまた珍しく、MMOは国内国外問わずフォトリアルなグラフィックが多く採用されており、キャラだけでなくフィールドや建物なども含めて完璧なアニメ調グラフィックスというのは非常に数が少なくなっています。

ブルプロの雑貨屋
建物の外と中はシームレス。2階に駆け上がってテラスから飛び降りることもできる

これだけ高レベルなものとなると『ブループロトコル』以外には存在しないレベルになってくるでしょう。

ハイレベルと言えば「ペリア・クロニクルズ」などがありましたが、残念ながら開発中止になってしまいました。

さて、話は戻って『ブループロトコル』では多くの建物は外と中で分けられていません。

例えば、建物の中に入って2階に駆け上がり、テラスから外に飛び降りる。そんな行動がシームレスで行うことができます。

動画ではTwitter用に撮ったので駆け足ですが、サブクエストを受注できる開拓局周辺から雑貨屋に突入し、テラスから飛び降りるまでを撮影しています。

なんちゃって3Dも多い中、こうやってシームレスに高低差溢れる街中を探索でき、そこにプレイヤーが居るというのはちょっと感動しますね。

ブルプロ。酒場の窓から中のプレイヤーを見る
雰囲気のある酒場

もう1つ驚いたのが、ガラス越しに建物の中にいるプレイヤーが見えるんですよ!

これ本当に感動しました。

中と外がシームレスっていうのは珍しいことではないんですが、こういったスモークな表現がかかったガラス越しに中のプレイヤーが見えるっていうのはMMOでは非常に珍しい表現です。

この酒場はプレイヤーが街に入って一番最初に訪れる場所なのですが、細かいポイントなので気づいていないプレイヤーも多いと思います。

とても感動するので是非ともチェックしていただきたいですね。

ブルプロの高低差溢れる街並み
見える全ての景色は行くことができる

ブルプロは高低差がすごいMMOです。

いくつもの階段や路地を潜り抜けたり、画像のように屋根を伝ってぴょんぴょん跳ねてショートカットしたり、街中を探索するだけでもとても楽しいのです。

私のように街中をぶらぶらするのが好きなネットゲーマーならこれだけで概ね満足できてしまうのではないでしょうか。

MMOではこの街中の作り込みというのはピンキリで、狭い街中に必要なNPCが表に立っているだけだったり、せっかく広くても区間が分かれてしまったり、満足のいく拠点に巡り合えることはそうそう無いのです。

最後に街中を海に向かって進む動画を貼り付けておきます。

動画内にはありませんが海では泳ぐことも可能です。

戦闘は本格的なノンターゲティングアクション。失われた光景がそこにあった

ブルプロの屋外戦闘。ノンターゲティング

『ブループロトコル』の戦闘はノンターゲティングアクションです。

画像の通り、フィールドには他のプレイヤーも同時に存在し、その中で自由に攻撃を放つことができます。

ドロップアイテムなどは各自で取得できるので横殴り等は気にしなくてもいい雰囲気でした。

PCMMOってなぜかノンタゲが少ないので(洋ゲーでは多いが国内に入ってこない)、空に向かって攻撃を放てるというだけでも結構感動なんですよね。

ブルプロ。外の拠点で辻補助魔法

街の中では攻撃することはできませんが、上記画像のようにフィールドに存在する拠点的な場所では攻撃可能です。

弓職は回復やスピードアップと言った補助スキルが使えるので、拠点に帰ってきた人にいわゆる辻ヒールや辻補助スキルをかけてあげることができるのが楽しいですね。

これもとてもMMOっていう感じがします。

ブループロトコルの戦闘でボスの攻撃を回避で避けている
ボスのタックルを華麗に回避

もちろんPCMMOなのでオートはありませんし、敵の攻撃は通常攻撃も遠距離攻撃もほぼすべて回避することができます。

私は主にブラストアーチャー(弓)とスペルキャスター(魔)でプレイしていましたが、敵の攻撃を避けて攻撃を撃つというのは単純ながらアクションしていて面白いですね。

https://youtu.be/fplUMmIiLJo

上の動画ではブラストアーチャーで戦っています。

序盤も序盤、一番最初のダンジョンでのボス戦なのでスキルも全然ありませんが、ソロでの基本戦闘はこんな感じになるでしょう。

動画ではロックオンで戦っていますが、弱点やヘッドショットが存在するのでロックオン無しで戦ったほうが効率が良くなります。

また、複数戦が多く存在するので、積極的に回避を利用したヒット&アウェイな戦闘が求められます。

特に接近職ツインストライカーは敵の通常攻撃もいちいち食らってられないのでとても細かな動きが要求されることになります。

対してイージスストライカーは盾によるガードが非常に強力なので、高難易度レイドでは盾役として全ての攻撃を抱えながら攻撃し、回復もできる弓職で盾を活かし続けるという戦法が見られました。

ブループロトコルのフィールドボス

『ブループロトコル』にはフィールドボスも存在します。

一定時間で湧き、重要なレア素材を落とすので出現すると同時にプレイヤーが一斉に集まってきます。

素材は例によってプレイヤーごとに取得できるので、各々気にせず戦うことができるのでワイワイできて楽しいですね。

フィールドボスは画面上部で告知され、マップで現在のイベント位置が分かるのはFF14のFATEシステムに近いですね。

ブループロトコルの辻ヒール
激しい戦闘の終わりにはプレイヤー同士のひと時が待っている

戦闘が終われば辻ヒールで回復するのはとてもMMO的な光景です。

とてもMMO的ですが、だからこそ、失われてしまった光景がそこにあると私は感じました。

ふーん。キャラクターかわいいじゃん。キャラクリも良いじゃん

ブループロトコルのストーリー
ストーリーは3Dムービーで進行する。さすがはテイルズのバンナムと言ったところだろう

アニメ調ってやっぱり良いですよね。

グラフィックに関してはFF14を超えるものは出てこないかなって思っていたんですが、さすがはバンナム。

日本人の心を鷲掴みする可愛さです。

https://twitter.com/masty_cafe/status/1254384886011445248?s=20

ふーん。かわいいじゃん……。

私はMMOは普通♂キャラでプレイするのですが、せっかくのクローズドβなので♂♀両方作ってみました。記事内で♂♀両方あるのはそのためです。

ブループロトコルのキャラクリエイト

キャラクタークリエイトはなかなか凝っており、上記画像のように眼のカスタマイズだけでもかなりこだわりの設定ができます。

流行のスライダー式ではないので限界はありますが、正直私はスライダー式は全然上手く作れないので選択式の方がありがたかったりします。

体系はスライダーで選択できるので思いのほか自由度は高いですね。あとは髪型がもう少し増えれば100点です。

服装も「衣装」としてステータス装備とは別に存在するので、様々なコーディネイトを自由に楽しむことができます。

ブループロトコルのミューリィさん可愛すぎる

おっ可愛すぎるぞ。大丈夫か?

残念ながら不満点多し。だが致命的なのはMMOとしての感動

さて、色々と褒めてきましたが、正直残念なところ問題点だらけだなって感じですね。

ここからはより私の個人的な感想が多くなっていくので、気分を害すものが出てくるかもしれません。

しかしながら、MMORPGって幾数万のそこそこ完成度が高い作品が敗れてきたジャンルなのです。

私もまた十何年とMMOをやってきた身なので、正直に書いていこうと思います。

戦闘システムは良いが、スキルカスタムの幅が少なすぎる

ブループロトコルのスペルキャスターのスキルツリー
スペルキャスターのスキルツリー

戦闘システムはこんなもんだと思います。可もなく不可もなくって感じです。

ただですね。スキルカスタマイズの幅が狭すぎですね。

スキルは基本的にQERCキーの4つに加え、必殺技的なスキルが1つ、イマジンという味方にした敵キャラクターに一度だけ攻撃してもらえるスキルの1つがあります。

それに加えて左クリックの通常攻撃、右クリックのクラス特有の行動、ここらへんができるアクションとなります。

実質カスタイズ可能なスキルはQERCの4つなのですが、これが問題で、QキーにQキーのスキル、EキーにはEキーのスキルとキーごとのスキルが決められているのです。

つまり、Cキーに設定されている回復とクールタイムを早めるスキルの両方を使う、みたいなプレイができません。

しかも攻撃スキルはクールタイムがそれぞれ独立しているため、クールタイムが終わり次第すべての攻撃スキルをぶち込むのが最良となります。ゆえにあまり攻撃の戦略性がなく、アタッカーならすべてのスキルを攻撃スキルにしたほうが効率が良くなります。

つまり、見かけ上は様々なスキルカスタムができるように見えますが、実際はカスタムの幅なんてほぼ無い、というのが現状です。

今後スキルやクラスが増えていくとしても、4つしかスキルが無いというのはあまりにも先がないというか、単純すぎるなぁという印象が拭えないですね。

UIに基本的なMMOにあるものがない

ブループロトコルのUI
コマンドメニュー画面。ほとんどの機能はここに集約される

全体的に綺麗なUIだと思います。

HUD(画面上のチャット枠やHPゲージなど)は設定で移動することができます。

ただですね。例えば所持金がいちいちコマンドメニュー画面を開かないと見れないのはどういうことでしょうか。

このコマンドメニュー画面というのが曲者で、開くのがちょっと重いうえに画面全体を覆ってしまうんですよね。

MMOにポーズはなく、常にリアルタイムです。

そこでアイテムやクエスト、装備やスキルを確認するためにいちいち画面全体を覆うメニューに遷移するというのは非常に悪手なんです。

裏ではすべてが動いているのに、自分だけは何も見えないぼったち状態になる訳ですからね。

ゆえにほとんどのMMOでは、各ウィンドウは独立して表示できるようになっており、プレイヤーの行動を阻害しないようになっています。

細かいところは色々あるのですが、どちらかというとオフラインゲーム向けのUIであり、MMO用のUIには見えないというのが本音ですね。

飛びぬけて感動できる「何か」がないのが致命的

ブループロトコルの夜の道

最も致命的なのはこれです。

細かい不満点はいくらでもありますが、それらはあくまでクローズドβですし、ここではそこまで突っ込みません。

ただ、成功してきたMMOというのは古今東西、飛びぬけた何かを持っていました。

例えば、古くはUOではその圧倒的な自由度で人々に感動を与え、そこにMMOという新しい生きる世界を提供しました。97年に発売されたにも関わらず、いまだにMMOはUOの影を追うばかりです。

そこから続くMMOの歴史、EQ・PSO・RO・リネ2・メイプル・DQ10・FF11・WoW・FF14……etcetc。

今のスマホゲーの如く、数えきれないほどのネットゲームが量産され続けました。その中で生き残り、人々の記憶に刻まれ生き残ったものはほんの一握りです。

『ブループロトコル』にそれらのMMOのように突出した何かがあるか? と言われると、私には今のところは見つからないかな、と感じてしまいます。

突出した何か、それは例えば圧倒的に練り込まれた世界観であったり、知恵熱が出るほどの戦略性であったり、見たこともないようなアクション性であったり、美しい旋律のBGMであったり、仲間と語り合うことが心地良いコミュニケーションであったり……。

もう一度その世界に戻りたい。ここが自分の居るべき場所だ。

そう思えるほどのある種の神秘体験ともいえる感動がMMOには必要だと私は思っています。

魂をその世界に置くのがMMOなんです。

『ブループロトコル』は確かにあらゆる要素がそこそこに揃っており、アニメーショングラフィックスもかなりの高レベルで、そのグラフィックスのキチンとしたMMOというだけでも非常に価値があるでしょう。

ですが、もう一歩、もう一歩何かが欲しいですね。

まとめ:「貴重な国産MMO」ではダメ

ブループロトコルの騎乗システム

決して悪いゲームではなく、むしろ感動さえ覚えました。

ですが、それはあくまで、久しぶりに完成度の高いきちんとしたPCMMOを遊べたことへの感動です。

「貴重な国産MMO」という評価ではダメなんです。

他にMMOの選択肢があまりないこともあって、このまま作っていけば良い線はいけるゲームだと思います。

ですが、もしこれが起爆剤となり、他社が新作MMOを出してきたときも生き残れるか?

そう考えると分かりません。

一度は触ってみる価値があるMMOだと思いますし、次回のテストも参加したいと考えています。

だからこそ、より高みを目指してほしいですね。

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