暑い夏が始まる中、Twitterでグッときた『路地裏漂流記』をレビュー。
本作は路地裏電脳研究所の探索アドベンチャーゲーム。
執筆現在(2023/7/23)Steamでアーリーアクセス版をワンコインで購入可能です。
Contents
どこか懐かしく怖いようで優しいそんな路地裏街の物語
ゲーム内容としては至ってシンプル。佐伯という女の子を操り、路地裏だらけの「路地裏街」でいろいろな人たちを助けながら探索していくアドベンチャーゲーム。
アーリーアクセス時点(2023/7/23)ではそんな序章を体験できる。プレイ時間はほんの1~2時間程度。
世界観を何よりも主張させる画面フィルター。ところせましと見える範囲すべてに置かれたオブジェクト。細部まで手作りのUI。
ほんのすこし触れただけで作者のこのゲームへのこだわりを垣間見えることができる。
町は文字通り路地裏で構成されており様々な分岐があるが、最終的にはゴールにたどり着くようになっており、行き止まりもそれほどないので迷って出られなくなるということはない。私のように方向音痴でもとにかく進んでいれば目的地にたどり着く親切設計。
安心してノスタルジックなこの世界にふんだんに浸ってほしい。
異形頭にこだわりのテキスト。癖が詰まっている
路地裏街には異形頭や半獣、鬼など人ならざるものが住んでいる。彼らは特別な存在ではなく、ただそこに住人として生活していた。
話す必要のないNPCで熱く語られる古本と古書の違いなど、随所に見られる熱いこだわり。
主人公の佐伯と友人の前田。
前田は常にうしろについてきてくれる。ことあるごとに話しかけると台詞がよく変わっており、何度も話しかけると選択肢まで出たりする。路地裏はときに心細くなるので常に話し相手がいるというのは心強い。
なぜかネコくんと呼ばれるメアくん。2人の関係が知りたい。癖(ヘキ)が非常に強い。
とにかく歩けば癖が激強なものにぶち当たる。無難なものは一切ない。それがいい。
オールド香港と昭和的なノスタルジーが交差する
「路地裏街」はキャラクターの服装や小物など、九龍砦が現役だったころのオールド香港を彷彿とさせるものが多い。そこに神社やセミの鳴き声、団地の一角のような昭和的な情景が合わさっている。それはファンタジーであり、1つの理想のノスタルジアだ。
路地裏街はどこかで見たような、でも何処にもない。そんな非日常なノスタルジーが複雑に交差している。
セミの声、流れる水の音、歩く場所で異なる足音、人々の喧騒、ただ世界がそこにある。
そんな路地裏街が見せる風景も多種多様で、アーリーアクセスの段階でも様々な面が見てとれる。
筆者は日本的ノスタルジーはもちろん、クーロンズゲートや九龍ジェネリックロマンスといった作品も大好きなのでどっぷりと世界観にハマってしまった。
ワンポイントアドバイス。アーリーアクセス版
筆者がゲームを進めるうえで困ったところを簡単にまとめる。
とても良いゲームなのでぜひとも快適にプレイしてほしい。
まず、ゲームを開始したらメニュー画面の「説明書」をよく読もう。ページを右にめくれるのでしっかりと読むべき。といってもテキスト量は少なめで図説が多いので簡単に読めるだろう。だが読まないと分からない点があるので大事。
「かくれんぼ」は体力ゲージをよく見よう。始まる前に満タンにしておけば事故は減らせるはずだ。筆者はかくれんぼ中、残り時間に夢中になるあまり体力切れを3回以上起こしてやり直している。お金は余るので一番高いアイテムを満タンまで購入することをおすすめする。
「ねこ探し」はネコちゃんを見つけたら徒歩で戻ろう。前田と違ってネコちゃんは走るとすぐについてこれなくなる。なんなら歩いても居なくなるのでこまめにうしろを確認するのが大事。
前田が消失しても諦めずに場面転換するまで進めよう。稀に前田が居なくなってしまうことがあるが、ストーリーはちゃんと進むし、場面が変われば後ろにワープしてくれるので気にせず進めよう。
まとめ
アーリーアクセス段階では物語はほんの1~2時間程度。だが、そのこだわりはたっぷり。
個人的にこのゲームは今という季節にこそプレイしてほしく、何かにグッとくるものがあれば今すぐプレイしてほしい。ワンコインでこの世界観を堪能でき、作者の化け猫零々さんへ支援できるのであれば安いものだ。
物語は最終的にかなりのボリュームになるようなのでとても楽しみ。個人的に次のプレイもまたセミが鳴くような季節、あるいは夏の残滓を感じられる時節にプレイしたい。