アケコンよりレバーレスやパッドの方が優れているのか再考する

アケコンとパッド
私の所有するデバイス達の一部

さて、私は常々、格ゲーを今から始めるならパッド1択、次点でレバーレスだと吹聴している。

しかしながら、長く色々な人の意見や周囲の使用環境を見ていると、必ずしもパッドやレバーレスが最強ではなく、アケコンも選択肢に入るのではないかと考えるようになってきた。

なので、今回は改めてアケコン・レバーレス・パッドそれぞれの利点・欠点を見比べ、デバイスについて再考していきたい。

私が格ゲーではパッドを推奨する理由

ところで、私の使用しているデバイスはアケコンである。

しかも、デバイス遍歴はRAP2.SA → Qanba Obsidian → Qanba Titanと根っからのアケコン勢だ。

しかし、アケコンを利用しているのは私が根っからのゲーセン勢かつ不器用であり、他のデバイスを使えないからという単純な理由に起因する。キーボード操作やパッドをもちろん試したが、指が追いつかなかったり違和感をどうしても拭えず諦めてしまった。

つまり、アケコンはおじ専用機。いや、おじ救済デバイスだと考えている。

そんな私がパッドを推奨するのは、私の周りの友人たちがパッドやキーボードを使用していること。それでいて、遥か高みの強さや、正確かつ素早い入力を実現しているのを見てきたからである。

また、実際に最高峰の格ゲー大会の一つ「EVO JAPAN 2024」では、主要タイトル4つの優勝者がパッドを使用していたという圧倒的な実績を作り出した。

さらに、個人的に決定的なのが、スト6を筆頭としたオフイベントの多さである。

もちろん、昔から有志による格ゲーオフ対戦会は存在していた。

しかし、今やリアルバトルハブであったり、プロチームの主催する対戦会であったり、大規模で公式の息がかかったオフイベントが頻繁に行われるようになった。プレイヤー同士のコミュニケーションだけでなく、プロと会えたり実際に対戦できる貴重な場である。

そんな対戦会では基本的に自分のデバイスを持ち込まなければならない。

そうなってくると、アケコンはあまりにも大きすぎるし、重すぎる。基本的なアケコンは3kgもあり、バックパックも最低26Lは無いととてもじゃないが入らない。投げればたやすく人を殺せる。圧倒的な質量をもった凶器だ。

しかもめちゃくちゃ高い。ほぼ格ゲー専用機であるにも関わらずである。

はっきり言って、この時点でハードルが死ぬほど高い。

対してパッドはとても小さくて軽い。ボディバッグはもちろん、大きめのポケットにも入ってしまう気軽さだ。身一つでふらりとイベントに行けてしまう。このことは私にとって圧倒的なアドバンテージである。

また、軽さというのは健康的にいい。

アケコンプレイヤーは膝置きが多いと想定される。実際、イベントでもテーブルにアケコンを置ける環境は少ない。

3kgという重量を膝(太もも)に置き続けて健康に良いわけがない。

実際、私はスト6が始まってから、以前よりも多くの時間を格ゲーに費やすようになったのだが、アケコンを膝に置き続けていたある日、太ももがビリビリと痺れるようになってしまった。

昨今は若くして大きく健康を害す人が目立つようになっているし、これは洒落にならないなと思うようになった。

なので私は6年間愛用しつづけたQanba Obsidianの使用を諦め、中の鉄板を外して軽量化したQanba Titanを使用するようにしている。こちらは重量わずか1.6kgとQanba Drone 2に迫る重量を実現している。

もちろん、機能面でもパッドは優秀である。

例えば、最近の自作レバーレスの中には曲面を多様し、手のひらの形にフィットさせるようなものも増えてきている。この構造、完全にパッドではないだろうか。

そもそもパッドは純正パッドでも常に無理なく8個のボタンに指をかけて使用することができる。

基本的なアケコンだと無理なく押せるのはせいぜい6ボタン、端の2ボタンは押すまでのラグが発生してしまう。ゆえに、親指で押せる位置にボタンを増設・移植することが多い。

パッドではこの作業が必要なく、純正で多くのボタンを素早く押すことが可能となる。

と、ここまでパッドはメリットだらけであり、使わない理由がない。

と、今までは思っていた。

私が格ゲーでレバーレスを推奨する理由

持論はあくまでパッドが最強。次点でレバーレスである。

レバーレスの魅力は、軽さ・薄さ・入力の速さである。

アケコンはレバーという部品の性質上、どうしても厚みが出てしまうし、レバーを激しく動かすとデバイスが動いてしまうのである程度の重さが必要になる。

レバーレスはその点を完全にカバーしている。レバーが無いので薄くできるし、上からボタンを叩くだけなので揺れる心配が薄く軽くもできる。広く重くしたほうが膝置きが安定するのはレバーレスも同様であるが、それでも圧倒的にレバーレスの方が薄くて軽い製品が多い。

このことで、バッグにPCやタブレットの枠で放り込むことができて取り回しがいい。

レバーレスの代表格であるHITBOXでさえ実物は意外と小さく、一般的なアケコンに比べると遥かに軽い。

もちろん機能面も素晴らしい。

移動操作をボタンで行えるため、レバーで必須なニュートラルに戻すという動作が必要ない。

レバーの場合、左から右、下から上などというように真反対に入力する際、必ず中央、いわゆるニュートラルを通る必要がある。レバーレスではこの余計な動作が無いため高速な入力が可能だ。レバーレスは溜めキャラに向いていると言われているのはこのためである。

さらにレバーは綺麗にコマンドを入力するのがとても難しい。キーディスを見ると波動拳のつもりが斜め後ろに入っていたり、とにかくレバーは操作がぶれる。当然、ぶれればぶれるだけ入力が遅くなる。レバーレスでは余計な入力をしてしまうということは起こりにくい。

その点、レバーレスはコマンドに関しては最速かつ最短のデバイスである。

筆者は不器用ながらレバーレスを触ったことがあるが、恐ろしいポテンシャルを感じた。

とはいえ、メリットはパッドと被るので、わざわざ格ゲー用に新しくレバーレスを買う必要はないだろう。

という訳で、私はあくまでパッドが一番だと考える。

アケコンのメリット・デメリットについて再考する

ようやく本題。

まず結論から述べると、アケコンは指に対して負担が少なく、デバイス代も結果的に安くつきやすいのである。

まず健康面。主に指の話になるが、実際レバーレスを使用しているプロのうち何人かは腱鞘炎に苦しんでおり指に激痛が走るようになったと言っていた。

ゲーマーにとって指は大事な資産であるし、普通に日常生活にも多大な影響を与えそうなので恐ろしい話である。

パッドもやはりコマンド入力で指へ負担がかかる。十字キーでコマンド入力をしている友人は「指紋はとっくに消えている」と何やら恐ろしいことを言っていた。

次に価格帯。パッドは近年価格が高騰している。タッチパッドやら傾きセンサーやら、パッドが高機能化しすぎたのである。そして壊れたら当然買い替えなければならず、数回買い替えればアケコンやレバーレスに手が届く金額となる。

無論、価格の高騰自体はアケコンやレバーレスにも同じことが言える。

が、アケコンやレバーレスの利点は、壊れたパーツだけを交換できるというところにある。

これによって初期投資こそ高いが、アケコンやレバーレスは非常に長い期間、それこそ台パンで本体を壊したりしないかぎり、メンテし続けることで半永久的に使用し続けることができるのだ。

パーツ交換の話で言えば、アケコン・レバーレスは近年カスタマイズ性が非常に高まっている。

近年ではレバーレスを中心として新たなメーカーや個人製作者が次々参入している。これによりボタン・レバーは様々な種類が出るようになったし、レバーシャフト、ガイドなども多くのものが現れ、天板や本体そのものも併せて幅広いカスタマイズが可能となった。

やはり自分自身のオリジナルデバイスというのはテンションが上がるし、様々なパーツを取り寄せてデバイスを改造・メンテナンスするのはミニ四駆やラジコンを弄るかのようなワクワク感がある。

と、この辺りでアケコンのメリットをまとめよう。

  • パッド・レバーレスに比べると指への負担が軽い
  • 初期投資こそ高いが、パーツ交換が可能なので長い目で見るとエコ
  • カスタマイズ性が高く、オリジナリティを出しやすい

利点がレバーレスと半分以上被っているが、良いとこどりと考えよう。

逆にアケコンのデメリットもまとめよう。

  • 重い
  • デカい
  • 値段が高い
  • ボタンが足りない

デメリットだらけにしか見えないが、近年ではここらへんを解消できるようになってきている。

「重い・デカい」はQanbaのDrone 2やTitanを使用するなど軽いアケコンを使用することである程度カバーできる。PUNKWORK SHOPの新作アケコンも実測1.85kgほどであるというし、個人販売も軽量のものが出ている。

ちなみに私はQanba Titanの中の鉄板を外したものを使用している。実測1.6kgほどになり、膝への負担も少なく快適だ。膝がビリビリすることも無くなった。Drone 2はGGSTのプロプレイヤーであるナゲさんも使用しており理想的だが、レバーの長さを通常のものに調節するのにナットを挟むなど細かい改造が煩わしいのでやめた。

ちなみに私は問題ないが、重量1.25kgのDrone 2や重量1.6kgにしたTitanでももっと重りをつけたいという人も居るので、アケコンの重量問題はなかなか難しいのだろう。

次に「ボタン足りない」だが、さすがに増設は敷居が高く、こればかりはどうしようもない欠点であるが、スト6のカプコンカップで優勝したUMA氏など、強豪プレイヤーでもボタン増設をしていない人は多いので、プレイヤー性能でなんとかなる範囲ではある。

現状だと増設済みアケコンは大手だと選択肢はPUNKWORK SHOPさんのアケコンしかない。他のメーカーもぜひ追従してもらいたい。

「値段が高い」は先ほど話した通り、初期投資こそ高いが壊れたパーツだけ交換できること、そして従来の耐久性から長く格ゲーをするなら結果的に安くなりやすい。

と、アケコンの弱点は少しずつだが解消できるようになってきている。

さらに先ほど述べた指への負担の少なさもあるし、条件付きだがアケコンはプレイヤーに優しいデバイスになりつつある。

アケコンは癖があるが優しく頼もしいパートナー

ここまで格ゲーの代表的なデバイスについて考えてきた。

アケコンは長い目で見ると手への負担が少なく、メンテナンスすることで長く使える。大きさや重さなど、パッドやレバーレスにはどうしても勝てないが、ギリギリ許容できる範囲まではなんとかなる。

カスタマイズ性も幅広く、自分だけのデバイスとなってくれる。

機能性も個人店や新進気鋭のメーカーが良いものを出してくれるようになってくれている。

アケコンは癖があるが、プレイヤーに優しく寄り添ってくれるパートナーたる存在なのだ。

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